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ヤクルート、EV市場に参入 圧倒的ノウハウ活かす

 食品事業大手の株式会社ヤクルートは15日、EV(電気自動車)市場に参入すると発表した。ヤクルート製EV第一弾としてグランドツアラー「ヤクルートGT-R」の販売を8月から開始する。全国のヤクルート営業所で予約を開始しており、価格は3,900万円(税込)からとなっている。併せて家庭用電源システム「エネルート」の実証試験を終え、来春から販売を開始すると発表した。

 「各社のEV開発状況を分析しましたが、弊社の技術が圧倒的に優れているのは明らかでした。失礼な言い方ですが、大人と子供ほどの違いがあります」マーケティング本部長の長嶋一茂氏は自信を見せる。何がそれほど違うのか。長嶋氏は「詳しくは企業秘密なのでお話できませんが」と前置きした上で「ポイントは乳酸菌にあります。他社さんは菌の可能性に気付かずリチウムだのコバルトだのと言っていますが、この世界を支配しているのは菌なのです」と語る。「弊社のビフィズス菌バッテリーを搭載したヤクルートGT-Rは充電の必要すらありません。菌の持つパワーを利用してモーターを駆動する仕組みだからです」

 ただし燃料としてヤクルートを補給する必要がある。この点について長嶋氏は「ヤクルート一本で一日走れます。ガソリンに較べたら安いものでしょう。燃料となるヤクルートはヤクルートレィディーと呼ばれる弊社の営業スタッフが毎週ご自宅までお届けしますので手間もかかりません」と話す。「ただし乗らなくても必ず一日一本ヤクルートを補給して下さい。そうしないと菌の環境が乱れ、故障の原因となります。最悪の場合爆発します」

 また家庭用電源システムのエネルートについて「ヤクルート一本で一般家庭一日分のエネルギーを生み出します。全ての家庭や企業にエネルートが普及すれば、もはや発電所も送電設備もいらなくなります」と話す。「ただしくれぐれも一日一本ヤクルートの補給を忘れないで下さい。爆発します」

 政府もヤクルートの技術に注目している。小泉進一郎環境大臣はエネルートについて記者から問われると「環境問題がフワッと流れ去るように消えてゆくイメージ。エネルギー革命とは乳酸菌をセクシーに活用する事だ。まさに一日一本ヤクルート、という事です」と述べ、記者を煙に巻いた。

この記事はフィクションです。実在する人物・団体・事象などとの関係は一切ありません。

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